建築関係の友人の結婚式で福岡に行ってきました。
コロナ禍になってからはめっきり友人との集まりも減っていたので、久々に情報交換して、皆それぞれの場所でもがいていることが確認できて一安心。
せっかくの機会なので、福岡・熊本の建築を見て回りました。
馬見原橋/熊本県上益城郡山都町
上方向に弓形の車道、下方向に弓形の歩道を持つ橋。
橋のスタート地点で歩道と車道が上下2手にわかれて、川の中央で距離が最大になり、橋の終点でまた一つに戻る。
歩道は立体的に車道の下に入り込むことで屋根を持つ半屋外のテラス状のスペースとなっていて(2ヶ所、川とつながる穴がありました)、心地良い居場所がつくられています。
異様なことが起こっているはずなんだけど、散歩する人は何も聞かなくてもすんなりと使いこなせてしまう自然さもあって、とても魅力的な建築だと思いました。
砥用町林業総合センター/熊本県下益城郡美里町
木と鉄骨のハイブリッドトラスで組まれた集会施設。
合理的なルールを背景としたとても複雑な架構で、ほとんどその方法だけで作り上げられたような、削ぎ落とされたストイックな建築が実現されていました。
立体的に交錯する複雑な架構をぐるぐると見てまわりながら、設計・施工の大変さを思い冷や汗をかき、難しい建築を実現しきった、勇気ある建築だと思いました。
遮熱ガラスフィルムや日射遮蔽スクリーンが傷んで外観を損ねていましたが、調べて見ると完成2004年とあり、できてから20年も経っているようです。これらは思想的には交換可能なものとしてデザインされているはずなので、交換してあげてほしいなぁ…
アクロス福岡/福岡県福岡市中央区
オフィス街の中にあって、隣接する南側の公園に向けて段々状の屋上緑化(というよりもほとんど森。通称ステップガーデン)を設けた複合施設。
かなり巨大な建物だけど、屋内に巨大な吹抜け空間を抱え込み、屋外は階段状にセットバックしているので、都市や来訪者に対して開かれる度合いが一般的な建物より異常に高いと思われます。
細かいデザイン云々よりも、まずはこのようなビジョンでこの規模の建物を実現したことがすごいと思います。そして、この森をきちんと維持管理できていることもすごい。
巨大なビルの屋外デザインで、ここまで人間的な尺度で心地良いスペースを提供できてる建物ってあったかな?と思いながら、屋外のステップガーデンをヒーヒー言って上りました。(残念ながら最上部の展望台は平日のため入れず。)
屋内とステップガーデンのつながりがあるともっと素晴らしいように思うけど、つながりがないことで逆にいつでも誰でも出入りできる、公園のような場所になっているような気もします。
天神ビジネスセンター/福岡県福岡市中央区
アクロス福岡と近接する位置に建つオフィスビル。
建物のボリュームを隅切りすることで屋外の歩行スペースを生み出したり、高さ制限の関係(?)でセットバックしたりした結果、不思議なボリュームの建物となっていました。
また、外壁は一般的なビルのように同じデザインでぐるりと包み込んでしまうのでなく、同じ奥行きのフレームだけど方位ごとに異なるデザインがなされており(直射光や雨ダレへの配慮と思われる)、その結果として方位ごとに異なる陰影を生み出していました。
全体形が先行せずに、解像度高く課題に対応した結果として出てくる形は魅力的です。
単体の建物で見学したのはこれくらいで、あとは足が棒になるまであてもなく博多の中心部を散策して、まちの雰囲気に浸りました。