なかのや旅館
竣工年 2025
工事種別 改修
所在地 大田市温泉津町
主要用途 旅館
主要構造 木造
階数 地上2階
延床面積 476㎡
施工 藤井工務店
造作家具 有限会社クロダ
写真 千葉ユウキ
2021年に前面道路側を改修した温泉旅館の、奥側(客室3室、浴室まわり、スタッフルーム)の改修。
宿泊客のニーズに合わせた快適性と、スタッフの働きやすいバックヤード、前回の改修と馴染む意匠性を求められた。
客室は既存の架構を活かしながら、各室内にトイレ・洗面を確保して、畳敷きでベッドを使う形に改修した。窓には前面道路側とデザインを統一した木製建具を設けることで視線が外部のまちへと拡がる。
2つの浴室は、間取りをほぼそのままに浴槽の広さを確保すること、窓を大きく設けること、坪庭を設けることで明るさと拡がりを持たせた。
床・腰壁に採用した県産の瓦タイルは、ひとつの窯で同時に焼いても、手作業による釉薬の塗厚差や窯内部の温度差により赤〜黒の色ムラが生じる。そこで、出来上がった瓦タイルを赤系・黒系に選り分け、浴槽と吐水口の石をそれぞれの瓦タイル色に合わせて選定することで、同じつくりかたで色の違う2室のインテリアをつくった。
地元の福光石を張った浴室へ向かう通路の先には、入浴前後にひと休みして庭や裏の岩山を眺めることができる開放的な休憩スペースを新設した。
建物背後にそびえるごつごつとした岩山、高密度に建ち並ぶ建物の隙間に落ちる光など、温泉津のメインストリートから一歩奥に入ったところで確認できるまちの構造を楽しむことができるように、各所で外部への拡がりをつくり出すよう試みた。
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