小休止


少し前になりますが、1週間程度、人生で初めて入院していました。(すでに退院して仕事に復帰しています)

ナック建築事務所に在籍していた際に大きな病院を担当していましたが、その時に学んだ多くのことを実感を持って体験することができました。
ベッドまわりの広さや細かいレイアウト、看護師さんの動線や視線の効率化、ベッドや車椅子が行き交う廊下の広さなど、色々な機能がせめぎ合ったバランスとして病院は出来上がっていることが分かりました。

一方で、機能というのは、どの目線で捉えるかによって出来上がる結果は変わってくるはずで、そのポイントについてはもっと考える余地があったのかな、と反省もしました。
たとえば、一般的な4床室のベッド配置だと、窓側ベッドと廊下側ベッドは環境の差が大きすぎる。看護動線や床面積が効率的であるということは理解できるけど、患者目線で見た時に本当にこれで良いのか?ということは入院して初めて気がつきました。
(もちろん、僕のような軽症の患者ばかりでなくより切実な状況の方もたくさんおられるので、一般的な配置そのものが悪いわけではない。)

現代は権力的な建築をつくるわけではないので、ある合理性を持って建築をつくることが基本ではありますが、どの目線で整理しているのかというポイントは常に意識しないと、大切なことを見落としてしまうかもしれない。

ただただ身体を休めてゆっくりと流れる時間の中でそのようなことを考えていたのですが、退院して少ししてにわかに忙しくなり、一気に現実に引き戻されました。
がんばらねば。